なりそこない王子 新潮文庫

星 新一 ¥460 (税込)

昭和46年の刊行でショートショート全12話が収録されている。この中でおもしろかったのが「ものぐさ太郎」というお話。家からまったく出ない太郎が、まったく外に出ずに仕事をしたり、政治の世界を動かしたりする。
ここで道具として使うのは電話である。当時はコンピューターはもちろんインターネットなんてものは普及していないので、電話が主役となっている。要は、電話で誰かになりすまして色んな人に指示したりするといったことである。今で言うオレオレ(振り込め)詐欺や、インターネット上のなりすましといったところだろう。この話自体も、電話をインターネットに置き換えて読み替えることもできるような内容である。

しかし、星新一も「ひきこもり」の出現ぐらいまでは予測しただろうが、まさか「ニート」の出現は予測してなかったと思う。