風紋

乃南アサ双葉文庫、\900

女子高生の母親が学校の教師に殺されたという話である。取り立てて変わったテーマではないが、視点がとてもよい。殺人から結審までの脇役たちの心情をよく表しているのだ。教師の妻や、女子高生の姉、そして女子高生自身と、殺人事件の主役の二人ではない人々がこの話では主役となっている。

マスコミが日々取り上げるニュースの裏に、毎回のようにこの本のようなドラマがあるのかもしれない。平穏な日々は自分自身が手を下さずとも崩れるときはあるのだ。

乃南アサの中でもベスト3に入れてもいい一冊だ。